公表資料

株式会社ヤマニシに対する支援決定について

2012年11月28日
株式会社東日本大震災事業者再生支援機構

 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構(以下「当機構」という。)は、株式会社ヤマニシ(本社 宮城県石巻市西浜町1番地2、社長 前田英比古、以下「対象事業者」という。)に対し、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成23年法律第113号)第19条第4項に規定する支援決定を行いましたので、以下の通りお知らせします。

1.支援決定の背景
 対象事業者は、2011年3月11日の東日本大震災により、生産設備に甚大な被害を受け、受注船舶の一部について建造中止に至るとともに、建造中の仕掛船舶においても津波により廃船となり、他社船台を利用して建造を行う必要が生じるなど、多大な被害を蒙りました。その結果、約1年の間、事業活動をほぼ全て停止せざるを得ない状況となり、事業を再開し再生を実現するためには、既存債務の圧縮、並びに多額の運転資金及び設備投資資金等が必要となりました。 そのような状況下、本年2月の株式会社企業再生支援機構(以下「ETIC」という。)による支援決定のもと、債権放棄による既存債務の圧縮並びに新造船事業に係る運転資金及び設備投資資金を、補助金、株式会社七十七銀行(以下「七十七銀行」という。)並びに株式会社日本政策金融公庫(以下「日本政策金融公庫」という。)からの新規融資にて調達し、新造船事業の再開を進めてきましたが、新造船事業と両輪をなす船舶修繕業については、修繕用ドックに甚大な被害が生じ船舶修繕業を再開できない状態にもかかわらず、復旧に必要な資金手当ての目途がたたず、手つかずの状況が続いておりました。

2.支援決定の内容及び意義
 今般、対象事業者が保有する修繕用ドック設備を復興し船舶修繕業の再開を図るため、当機構は対象事業者に対し40億円の出資を行うことを内容とする支援を決定しました。あわせて、公益財団法人三菱商事復興支援財団においても、修繕用ドック設備の復興用資金として1億円の融資を決定頂きました。加えて、七十七銀行及び日本政策金融公庫からも引き続き金融支援を頂くことで合意しております。 これらの支援を受けることにより、対象事業者は修繕用ドック設備の復興と船舶修繕業の再開を実現し、既に再開している新造船事業との相乗効果を発揮することで、ETICによる支援の下で策定された事業再生計画実現の蓋然性を高めるとともに、収益の増強により早期の事業再生が可能となるものと認識しております。 今回の支援決定は、対象事業者の復興、雇用確保に留まらず、石巻地域における多くの修繕関連事業者との取引復活につながることからも、被災地域の経済復興・雇用創出が加速することが期待でき、1事業者に対する経済的効果以上のものがあると認識しております。

3.今後の取組
 今後は、ETICの支援により整備された現在の対象事業者の経営環境を引継ぐとともに、七十七銀行、取引金融機関及び行政等の協力と理解の下、対象事業者の早期の事業再生、並びに、被災地域の経済復興と発展が実現できるよう貢献してまいります。

以上

※ 事業者名等の公表について
 なお、当機構ではこれまで支援決定先の事業者名等については、これらを公表した場合に事業者に生じうる不利益等を考慮して非公表としてきました。しかしながら、本件の対象事業者については、既にETICによる支援決定の際に事業者名等が公表されてきたという特別な事情があることに加え、対象事業者の企業規模や関連企業の広がり等の点で地域経済に対する影響が特に大きいと考えられることなども勘案の上、今回は、対象事業者の同意の上で公表することといたしました。